Webデザインの色の基礎知識|色相・彩度・明度、配色、カラーモード、便利ツールまで

Webデザインをするとき、「どんな色を使えばいいのか分からない」「好きな色を選んでいるけれど、なぜかまとまらない」と感じたことはないでしょうか。
色はWebサイトの印象を大きく左右します。
同じレイアウトでも、明るい色を使えば親しみやすい印象になり、暗い色を使えば落ち着いた印象になります。また、色には「目立たせる」「情報を区別する」「読みやすくする」といった役割もあります。
ただし、色選びをすべて感覚だけで行う必要はありません。
色には基本的な仕組みがあり、「色相・彩度・明度」「色相環」「補色」「類似色」などを理解すると、配色を考えやすくなります。
Webデザインで色を学ぶ理由
Webサイトを作るとき、最初にレイアウトを考え、そのあとで「ここは青」「ボタンはオレンジ」など、色を決めていくことがあります。
もちろん、自分が好きな色から考えることも悪くありません。
しかし、Webデザインでは「好きな色」だけではなく、「その色を使う目的」も考えることが大切です。
例えば、申し込みボタンを周囲と同じような色にしてしまうと、どこをクリックすればよいのか分かりにくくなります。
反対に、ページの中で一番目立たせたい場所だけにアクセントカラーを使えば、ユーザーの視線を自然に誘導できます。
企業サイトであれば信頼感、子ども向けサイトであれば楽しさ、カフェのサイトであれば落ち着きや温かさなど、伝えたいイメージによって適した色も変わります。
色は単なる装飾ではなく、情報を伝えるためのデザイン要素のひとつなのです。
光の色「RGB」と加法混色
最初に知っておきたいのが、色がどのように作られるのかという仕組みです。パソコンやスマートフォンなどのディスプレイでは、主に「RGB」という3つの色を使って色を表現します。
RGBは、 Red(赤) Green(緑) Blue(青) の頭文字です。

ディスプレイでは、この3色の「光」を組み合わせてさまざまな色を作ります。
赤と緑の光を重ねると黄色、緑と青を重ねるとシアン、青と赤を重ねるとマゼンタに近い色になります。
そして赤・緑・青の3つの光をすべて強くすると白になります。
反対に、すべての光がない状態は黒です。
このように、光を加えるほど明るくなっていく色の混ぜ方を「加法混色」といいます。Webサイトやアプリ、写真、動画など、ディスプレイで見るものについて考えるときは、基本的にRGBを使うと覚えておくとよいでしょう。
印刷で使われる「CMYK」と減法混色
一方、パンフレットやチラシ、名刺などの印刷では、RGBではなく「CMYK」が使われます。
CMYKは、 Cyan(シアン) Magenta(マゼンタ) Yellow(イエロー) Key plate / Black(黒)を使って色を表現します。

こちらはディスプレイの光とは違い、インクを重ねることで色を作ります。
白い紙にインクを重ねていくほど、反射する光が減り、色は暗くなっていきます。このような色の混ぜ方を「減法混色」といいます。
理論上はシアン・マゼンタ・イエローを重ねると黒に近づきますが、実際の印刷ではきれいな黒を表現することが難しいため、黒のインクを加えたCMYKが使われています。
Web制作ではRGB、印刷物ではCMYK。 まずはこの違いを覚えておきましょう。
PhotoshopやIllustratorなどで画像を作る場合も、「最終的にWebで使うのか」「印刷するのか」によって設定するカラーモードが変わります。
色を理解するための「色の三属性」
色を考えるときに特に重要なのが、
「色相」 「彩度」 「明度」の3つです。
これらは「色の三属性」と呼ばれます。色を感覚だけではなく、少し論理的に調整できるようになるためにも、この3つの違いを理解しておきましょう。
色相(Hue)とは「何色なのか」
色相とは、赤・オレンジ・黄色・緑・青・紫といった「色の種類」のことです。例えば、赤から少しずつ黄色に近づけていくと、途中でオレンジになります。黄色から青へ向かう途中には緑があります。

このように色相を順番に円形に並べたものを「色相環」といいます。
FigmaやPhotoshopなどのカラーピッカーを使っていると「H」という項目を見ることがあります。
このHはHue、つまり色相を表しています。
「この青をもう少し緑寄りにしたい」といった場合には、色相を変更して調整します。
彩度(Saturation)とは「色の鮮やかさ」
彩度は、色の鮮やかさを表します。彩度が高い色は、はっきりとした鮮やかな色になります。
逆に彩度を下げていくと、だんだん色味が弱くなり、グレーに近い落ち着いた色になります。
例えば、同じ青でも、彩度の高い青は元気で強い印象になりやすく、彩度を下げた青は落ち着いた印象になります。
「色が派手すぎる」と感じたとき、色そのものを別の色に変えるのではなく、彩度を少し下げるだけで使いやすくなる場合があります。
Webデザインでは、すべてを鮮やかな色にすると視線が分散してしまいます。
強調したい場所では彩度を高め、それ以外では少し落ち着いた色を使うなど、強弱を付けることも大切です。
明度(Brightness / Lightness)とは「色の明るさ」
明度は色の明るさを表します。明度が高くなると明るい色になり、低くなると暗い色になります。
例えば同じ青でも、右の図のように、水色のような明るい青と、ネイビーのような暗い青では印象が大きく違います。
明るい色は軽やかで柔らかな印象を作りやすく、暗い色は落ち着きや重厚感を出しやすくなります。
Webサイトの背景、見出し、文字、ボタンなどを考えるときも、色相だけを見るのではなく明度の違いを見ることが重要です。
特に文字色と背景色の明度が近すぎると、文字が読みにくくなることがあります。

色の印象を考える「トーン」
配色を考えるときによく出てくる言葉に「トーン」があります。
トーンとは、主に明度と彩度を組み合わせた「色の調子」を表す考え方です。

例えば同じ赤系の色でも、
鮮やかで強い赤
明るく柔らかいピンク
少しくすんだ落ち着いた赤
黒に近い深い赤
では印象が大きく変わります。
色相が違っていても、彩度や明度が近い色を組み合わせることで、全体に統一感を持たせることもできます。
例えば「淡く明るい色」でそろえると柔らかい印象になり、「少し暗く彩度を抑えた色」でそろえると落ち着いた大人っぽい印象になります。
Webデザインで「色は違うのに、なぜかまとまって見える」というデザインでは、トーンがそろっていることも少なくありません。
色相環を使って配色を考える
色相・彩度・明度が分かったら、次は複数の色を組み合わせてみましょう。
配色を考えるときに便利なのが「色相環」です。色相環を見ると、色同士の距離や関係が分かります。
なんとなく2色、3色を選ぶより、色相環上の位置関係を知ることで、配色の理由を説明できるようになります。
類似色とは
色相環の中で近い位置にある色を組み合わせる方法があります。
例えば、黄色・黄緑・緑、青・青紫・紫といった組み合わせです。
このような近い色同士はまとまりやすく、自然で統一感のある配色を作りやすい特徴があります。
Webデザイン初心者の場合も、まずは近い色を使って配色すると大きく失敗しにくくなります。
ただし、似た色だけではページ全体が単調になる場合があります。
その場合は、重要なボタンなどに別のアクセントカラーを使うとメリハリが生まれます。

補色とは
補色とは、色相環のほぼ反対側に位置する色の組み合わせです。
例えば青系とオレンジ系など、互いの違いが大きな組み合わせになります。
補色を使うとコントラストが強くなり、色を目立たせることができます。
そのため、メインカラーに対して「申し込み」「購入」「お問い合わせ」など重要なボタンを目立たせたいときに、補色に近い色をアクセントとして使う方法があります。
ただし、補色同士を同じ面積・同じ強さで大量に使うと、色同士が主張しすぎて見づらくなることがあります。
「反対側の色だから全部半分ずつ使う」のではなく、一方をメインにして、もう一方をアクセントとして少量使うほうが扱いやすいでしょう。

配色では「色の数」だけでなく「使う量」も考える
配色を考えるとき、「3色選べば完成」と考えてしまいがちですが、色を使う面積も重要です。
例えば、背景など広い範囲に使うベースカラー、サイトの印象を決めるメインカラー、ボタンなど特に目立たせたい部分に使うアクセントカラーというように、役割を分けて考えると配色しやすくなります。
アクセントカラーは「アクセント」という名前の通り、使う場所を絞ったほうが効果的です。
ページのいたるところで同じように目立つ色を使ってしまうと、結局どこを見ればよいのか分からなくなります。
配色は色選びだけではなく、「どの色を、どこに、どのくらい使うか」まで考えることが大切です。
暖色と寒色による印象の違い
色には、温度を感じさせるような違いもあります。
赤・オレンジ・黄色などは「暖色」と呼ばれ、温かさ、活発さ、親しみなどを感じやすい色です。
青・青緑などは「寒色」と呼ばれ、涼しさ、冷静さ、清潔感などを感じやすい色です。
ただし、「青なら必ず信頼感」「赤なら必ず情熱」と決まっているわけではありません。
色の印象は、彩度や明度、周囲の色、写真、フォント、余白などによっても変わります。
色だけでサイトのイメージを決めるのではなく、デザイン全体との組み合わせを考えていきましょう。
Web制作で知っておきたい色の表し方
Web制作では、RGB以外にもさまざまな方法で色を指定します。よく使われるのがHEX、RGB、HSLです。
例えばCSSでは、同じ色でも、
#3a7bd5
rgb(58 123 213)
hsl(214 64% 53%)
のように異なる形式で指定できます。
HEXは「#」から始まる6桁などの16進数で表す方法で、Web制作では非常によく使われています。
RGBは赤・緑・青の値を使って指定します。
HSLはHue(色相)、Saturation(彩度)、Lightness(明度)という考え方で色を指定します。
ここで注意したいのは、HEXはRGBやCMYKと同じ意味での「カラーモード」ではなく、色の値を記述する方法のひとつだということです。
デザインツールで選んだ色をCSSで使用するときには、HEXやRGBなどの値をコピーして使うことができます。
「きれいな配色」だけではなく「読みやすい配色」を考える
Webデザインでは、見た目がきれいであればそれでよいわけではありません。
利用する人が文字を読み、ボタンやリンクを認識できることが重要です。
例えば、白い背景に非常に薄いグレーの文字を配置すると、デザインとしてはすっきり見えるかもしれません。
しかし、人によっては文字がほとんど見えないことがあります。
そこで確認したいのが、文字色と背景色の「コントラスト」です。
Webアクセシビリティの国際的なガイドラインであるWCAG 2.2では、Level AAの場合、通常の文字は原則として背景とのコントラスト比4.5:1以上、大きな文字では3:1以上が基準となっています。
色を決めるときは、「自分には見えるから大丈夫」ではなく、さまざまな人が利用することを考えることが大切です。
特に本文、ボタン、フォーム、ナビゲーションなどでは、読みやすさもしっかり確認しましょう。

Webデザインの配色に役立つサイト・ツール
ここまで色の仕組みを学んできましたが、実際の制作ですべての配色を自分だけで考える必要はありません。
色相環から配色を考えたり、写真から色を抽出したり、すでに作られた配色を参考にしたりできる便利なWebサービスがあります。
色の基本を理解したうえでツールを使うと、「なぜこの色が合うのか」を考えながら選べるようになります。
Adobe Color
Adobe Colorは、色相環を使って配色を考えられるAdobeのツールです。
ベースとなる色を決め、類似色、補色、トライアド、モノクロマティックなどの配色パターンを確認できます。
「補色とは何か」「類似色はどの位置にあるのか」を実際に操作しながら確認できるので、色の仕組みを学ぶ用途にも向いています。
現在は画像からパレットを抽出したり、コントラストを確認したりする機能も用意されています。
PhotoshopやIllustratorなどAdobe製品を使っている方にも覚えておきたいツールです。
HUE/360
HUE/360は、ひとつの色を選び、その色と組み合わせやすい色を探せる配色ツールです。現在もWeb上で利用できます。
色を一から決めるというより、「この色を使いたいけれど、あと何色を組み合わせればいいのだろう」というときに便利です。
色相環の関係を見ながら色を選べるため、感覚だけでなく色同士の関係を考える練習にもなります。
Happy Hues
Happy Huesは、色の組み合わせだけではなく、Webページのような実際のレイアウト上で色がどのように使われるのかを見ることができるサイトです。
配色ツールで5色のパレットを作っても、「どの色を背景に使えばいいの?」「ボタンはどの色?」と迷うことがあります。
Happy Huesでは、背景、見出し、本文、ボタン、イラストなどに色が使われている例を確認できるため、「配色を実際のデザインにどう割り当てるか」を考える参考になります。
Webデザインを学んでいる方には特に参考にしやすいサイトです。
Coolors
Coolorsは、さまざまなカラーパレットを手軽に生成できる人気の配色ツールです。
色を生成し、気に入った色を残しながら別の色を変更していけるため、「この青は使いたいけれど、ほかの色が決まらない」といったときにも便利です。
生成したパレットはHEXなどの色コードとして確認でき、Webデザインにも利用しやすくなっています。現在は画像からの色選択、コントラスト確認、パレットの可視化など複数のカラーツールが用意されています。
Huemint
Huemintは、機械学習を使ってカラーパレットを生成するツールです。
単純に数色を並べるだけではなく、背景色・前景色・アクセントカラーなど、デザインの中で色がどのように使われるかを考慮して色を生成する考え方が特徴です。
Webサイト向けのパターンも用意されているため、「自分では思いつかなかった色の組み合わせを探したい」というときに使ってみるとよいでしょう。
AIによって配色の候補を出す場合も、最終的には人が読みやすさやサイトの目的に合っているかを確認することが大切です。
Canva Color Palette Generator
CanvaのColor Palette Generatorは、写真からカラーパレットを作りたいときに便利です。
画像をアップロードすると、その写真に含まれる色からカラーパレットを作成できます。
例えばカフェのWebサイトを作る場合、店内写真や商品の写真から色を取り出してサイトの配色に使うことで、写真とWebデザインに統一感を持たせやすくなります。
旅行、料理、インテリア、ファッションなど、写真を大きく使うサイトにも向いています。
Color Hunt
Color Huntは、完成したカラーパレットをたくさん見ることができるサイトです。
自分で色相環を動かして配色を作るというより、「どのような色の組み合わせがあるのか、たくさん見てみたい」というときに向いています。
公開されているパレットは選定されたコレクションとして掲載されています。
デザインを始める前の配色アイデア探しにも使いやすいでしょう。
ただし、そのまま色をコピーするだけではなく、「なぜこの組み合わせはまとまって見えるのか」と色相やトーンを考えてみると、色の勉強にもなります。
KOBEYA LAB カラーパレット生成ツール
KOBEYA LABのカラーパレット生成ツールでは、ベースとなる色から配色パレットを作ることができます。KOBEYA LABにはこのほか、HEX・RGB・HSLの変換などWeb制作向けのカラーツールも用意されています。
Webサイト制作中に「メインカラーは決まったけれど、合わせる色が決まらない」というときなどに利用できます。
色を決めたあとは、実際に背景、見出し、ボタンなどに当てはめ、ページ全体のバランスも確認してみましょう。
KOBEYA LAB コントラストチェックツール
配色を決めたあとに確認しておきたいのが、文字色と背景色のコントラストです。
KOBEYA LABのコントラストチェックツールでは、文字色と背景色を指定して、コントラスト比や読みやすさを確認できます。
デザインを作っている本人は長時間その画面を見ているため、薄い文字にも慣れてしまうことがあります。
Webサイトを公開する前には、特に本文、ボタン、ナビゲーション、フォームなどを確認しておくと安心です。
より詳しく調べたい場合は、WebAIMが提供しているContrast Checkerなどを利用する方法もあります。WebAIMでは通常文字、大きな文字、UIコンポーネントなどについて判定を確認できます。
配色ツールは「正解を決めてもらうもの」ではない
便利な配色ツールを使うと、簡単にきれいなカラーパレットを作ることができます。
しかし、ツールが表示した色が、そのWebサイトにとって必ず正解とは限りません。
大切なのは、「誰が利用するサイトなのか」「何を伝えたいのか」「どこを一番目立たせたいのか」を考えることです。
例えば同じカフェサイトでも、高級感を出したい店舗と、親子で気軽に利用できる店舗では適した配色が変わります。
病院、教育、金融、子ども向けサービス、エンターテインメントなど、Webサイトの目的によっても求められる印象は異なります。
まずサイトの目的やターゲットを考え、そのうえで配色ツールを「候補を見つけるための道具」として利用しましょう。
まとめ|色の仕組みが分かると配色を考えやすくなる
Webデザインの色は、センスだけで決めるものではありません。
RGBとCMYKの違い、色相・彩度・明度、トーン、色相環、類似色や補色など、基本的な仕組みを知ることで、「なぜこの色を使うのか」を考えられるようになります。
そして実際の制作では、Adobe ColorやHUE/360、Coolors、Color Huntなどの配色ツールを使うことで、たくさんの組み合わせを短時間で試すことができます。
色を選んだあとは、見た目の美しさだけではなく、文字と背景のコントラストなど、利用する人にとって読みやすいかどうかも確認しましょう。
色を勉強するときは、最初からすべての色彩理論を覚える必要はありません。
まずは、
「色相を変えると色そのものが変わる」
「彩度を下げると落ち着いた色になる」
「明度を変えると明るさが変わる」
「近い色はまとまりやすい」
「離れた色はアクセントになりやすい」
「文字と背景には十分なコントラストが必要」
という基本を意識するところから始めてみてください。
FigmaやPhotoshopなどで実際に色を変更しながら確認すると、知識だけで覚えるよりも理解しやすくなります。
Webサイトを制作するときにも、「なんとなくこの色」ではなく、「この目的だから、この色を選んだ」と説明できるようになると、デザインの考え方が大きく変わってきます。
